パラグライダー:海岸の場合

エンジンを持たないパラグライダーはどうやって飛ぶのか、という質問を受けます。

門前の小僧である私ですが、周囲のパイロットから聞きかじったことをまとめてみたいと思います。

海岸と山ではちょっと異なるので、今回は海岸での場合のお話です。

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紺碧の海と青い空の間を飛翔する。気持ちよさそうです。

 

1.海辺で離陸が可能な場所とは

パラグライダー・ハンググライダー許可地であるという前提です。

海岸での写真をよく見るけれど、どこでも離陸できるのか?

答え:出来ませーん。

例として、マサチューセッツ州ケープコッド国定海岸の地形を見てください。

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ケープコッドのウェルフリート海岸。北を向いて撮影。

東(右)の海に対して西(左)に見える砂丘に注目。

これが必要不可欠なのです。というのも…下図を見てください。

東から来る海風(緑の矢印)は、浜辺で砂丘に沿って方向転換します(オレンジ)。

この流れを利用して離陸するのです。

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MS Paintで作った力作です

ですから、崖や砂丘の無い場所では上方気流が発生しないので飛べません。

砂丘の頂(星印)は、海風と砂丘を駆け上がる風の両方を受けます。

天気予報で出る風力数値よりかなり上ですので、単に海を見下ろすときでもどうぞ足元に気を付けて下さい。

2.テイクオフはどんな様子?

砂丘からのテイクオフの様子を順を追ってどうぞ。

一般的な方法では、風を背にして立ち(いわゆる「リバース」)、ウィングを風向きに合わせて整えます。

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ウィングを制御する手は交差させて用意。

風をはらんだウィングは自然に立ち上がります。(「壁を立てる」)

安定したところで体を反転させて風に向かいます。

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左右のバランスよく立ち上がりました。

風圧に負けないように体制を整えて数歩進むと...

風が適当な場合は優雅にフワリと飛び立ちます。

強風ではポンッと引き抜かれるように。

上手く風に乗れなかった場合は、そのままスーッと滑り台のように滑降します。

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飛び立った瞬間。

タンデム(二人乗り)で飛ぶ場合は、初めから風に向いて準備します。

あとは、基本的に砂丘を真横に飛翔してから適当な所で反転を繰り返し、ちょうど数字の8の時を横に寝かせたような軌道をたどります。

3.パイロットを間近に見るなら海岸が便利です

海岸でのフライトは砂丘の近くに群れがちです。

また、障害物が少なく平坦な砂浜に着陸できるため、パイロットが離陸地点に戻ってくる場合が大半です。

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ハンググライダーも混じって

またトップランディングという着陸方法でその場に戻ってくることもあります (リンククリックで動画が見られるはずです)。

 

ですから近くでパイロットを見たり写真を撮りたいという場合は海岸フライトの観察がお勧めです。

 

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砂丘の上に立つとパイロットがすぐそこに。

 

4.海岸フライトが見られる場所

マサチューセッツの海岸フライト場所は以下の2か所です。

  • ケープコッドのウェルフリート(10月から4月のみ)
  • プリマスとボーンの町境(通年)

いずれも地元の住人に迷惑を掛けないよう規則が決まっているので、興味の有る方は、まず土地のフライトクラブに連絡を入れて確認してください。

ニューイングランドのクラブ:New England Paragliding and Hang Gliding Club

次回は、山でのフライトのお話をしたいと思います。

今日もお付き合いいただきありがとうございました。