ドッグタウン("Dogtown", MA)歴史のこと
州北部ケープ・アン半島にドッグタウンという廃村があります。
正式にはGloucester(グロースターです、グロチェスターではありません)町の
一部であるこの土地が、何故に「犬の町」なのか。
ミステリアスな地名が隠れた人気のドッグタウンの紹介です。
まずは位置関係から。
グロースターが制定(*注1)されたのは1642年。
以下のような時代です。
グロースターの町の中心は海に近かったのですが、
半島を横切る内陸道に沿ったコモン集落(Common Settlement/Upper Town)
も作られ1650年ごろから移住が始まりました。
Commonとは共有地のことで、集落の人々が家畜を放牧できる場所です。
東北部では、昔のcommonを公園として開放していることがよく見かけられます。
農業を中心に、多い時は60戸200人余りが居住していたコモンですが、
独立した米国が制海権を確立し、英国船の脅威が影を薄めるにつれ
人々は漁業や運送の便が良い海沿いの町グロースターやロックポートに移住し
1814年には6戸を残すのみとなりました。
また年表で時代背景を追うと:
こんな石ころだらけの場所を耕したとは。
コモンに残されたのは、寡婦などいわば経済的弱者。
ハーブを集めて道行く人に民間療法薬を売ったり、
占いなどで僅かな収入を得たことから
「コモンには魔女が住んでいる」と噂されるようになりました。
北米の魔女伝説は蓋を開ければたいていこんな話です。
定職が無くて、教会の近くに住めなかった女性に不利な時代でした。
「魔女たちの女王」と呼ばれたタミー・ヤンガーは
呪いをかけられたくなければ食べ物をよこせ、と脅していたそうで
切実な「トリック・オア・トリート」でした。
町に出稼ぎに出る力も無い女性が当時どんなに苦労しことか。
最後の住人は1830年でした。
(続きます)
*注1:コミュニティの設立には、settled(定住)とかincorporated(法人化)とかestablished(設置)とか色々な言葉が使われるのですが、歴史的な意味のニュアンスはよくわかりません。たとえば、ボストンはincorporatedが1800年代なのです。
*注2:内戦処理の出費と北米植民地からの取り立ては無関係ではないのです。
【参考】
Country Walks Neat Boston, Alan Fisher, Rambler Books ISBN 0961496371
公式トレイル地図:https://thisprobablelife.files.wordpress.com/2012/08/dogtown_map-1.jpg
グロースター町ウェブサイト:http://gloucester-ma.gov/710/Dogtown-QR-Codes